阿佐ヶ谷駅北東地区計画の問題を追及
杉並区議会第1回定例会で、阿佐ヶ谷駅北東地区計画を取り上げ、区に計画の撤回を求めました。
※2021年3月8日の予算特別委員会・都市環境分科会での質疑の抜粋です。
※正式の議事録ではなく、独自に作成したものになります。
樹木保全を求めた条例に反する
〇野垣委員 阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりについて伺います。自然の保護と回復に関する条例に基づく東京都の協議が終わったからといって、けやき屋敷の樹木を伐採することに、区民は納得していません。
区長は先日のわが党の代表質問に対して樹木を半数以上伐採しても、みどりの条例と整合したものであると答弁しました。
まず、区には緑地や屋敷林を保全するための方針、緑地保全方針があります。どのような方針か打ち出しているのですか。
〇みどり政策担当課長 緑地保全方針につきましては、平成26年に策定したものになりますが、こちらは減少傾向にあります屋敷林であったり、農地、それの喪失に歯止めをかけるために定めたものです。
〇野垣委員 緑の保全及び育成を目的としたみどりの条例があります。みどりの条例第9条を読み上げて下さい。
〇野垣委員 再度確認しますが、質問は、今読み上げていただいた、みどり条例の第9条、樹木の保全について定めた内容について、反していないかと聞いている。いかがですか。
〇みどり政策担当課長 何人も現存する樹木を保全するよう努めなければならない。やむを得ず伐採した時は、同数以上の樹木を植栽するよう努めなければならない。
〇野垣委員 私は、貴重な樹木の半分以上を伐採するということが、みどりの条例第9条に整合した行為だという根拠の説明になっていないと思う。条例の制定者である区が、条例を踏みにじるような行為なのではないか。
〇みどり政策担当課長 北東地区のまちづくりにつきましては、地区計画におきまして地区施設としての緑地…新たな緑の創出に取り組むという計画になっておりますので、条例に反するものではないと考えてございます。
世界に逆行 CO2増加も無視
〇野垣委員 樹木や大径木は地球温暖化の防止の機能、温室効果ガスである二酸化炭素を吸収、貯蔵する役割があると言われているが、区の認識はいかがですか。
〇みどり政策担当課長 委員ご指摘の通り、都成、二酸化炭素を吸収することで環境対策の方にもまあ寄与するものと認識。
〇野垣委員 みどりの基本計画の改定の視点で、区として地球規模の視点で必要なことについて述べた部分を読み上げでください。
〇みどり政策担当課長 本区も地球規模の視点に立った環境保全に積極的に取り組んでいく必要があり、環境問題に寄与する現存する緑を保全し、新たな緑をできる限り増やしていく必要があります。以上です。
〇野垣委員 CО2を吸収する大径木の伐採は、2050年に温室効果ガス実質ゼロを目指す世界の流れに逆行するものであり、単なる緑化で補うことはできません。以前の質疑で私は、直径60㎝のケヤキを65本伐採すると、年間21.4tのCО2の固定量が消滅することを紹介したが、今回の樹木の大量伐採がCО2固定にどれだけの影響をもたらすのか、調査や検討はされたのか伺います。
〇みどり政策担当課長 樹種であったり樹齢、樹木の状態によって異なるというところがあり、CО2の固定量は算出してない。
〇野垣委員 区は、樹木調査を行っており、太さだとか、樹齢何年くらいだとか調査を行っている。だから計算して下さいっていうふうに言っているのです。CО2の削減に真剣に向き合っていただきたい。世界の流れに逆行するやり方は良くないと思う。
区の保全努力は偽り 都とは許可ではなく協議に
〇野垣委員 次に、区が緑の保全の努力した、当事者だけでは残せなかったという旨の答弁について、確認をします。
第一に、私有地において民間だけで病院移転を施工するのであれば、東京における自然の保護と回復に関する条例の規制はなく、樹木は自由に伐採できるのですか。
〇事業調整担当課長 開発行為と認められれば、許可が必要になると思う。
〇野垣委員 東京都の対応は、区が参加した区画整理事業の場合と、民間の開発事業の場合とでは、どちらが認可で、どちらが協議で済むのですか。
〇事業調整担当課長 都条例では、区画整理事業として施行する場合は協議、それ以外は許可です。
〇野垣委員 民間だけの方が対応が厳しくハードルが高くなり、区が関与することで拘束性が弱くなる。区長のこの間の主張が真逆だということになるではないか。
容積率引き上げは優遇措置
第二に、区が保全の努力として強調していた容積率を上げることで樹林地が保全できたというのは、どういうことか。
〇事業調整担当課長 容積率を上げることで、高層のビルを建て空地を作ることによって緑を残すということです。
〇野垣委員 建蔽率の縛りがある限り、私有地だからと言って敷地全体に建物を建てることはできません。容積率の引き上げは単に大きな床面積の建物を建てられるように優遇しただけではないのでしょうか。
樹木半減を当初から計画
〇野垣委員 第三に、区は区民に対して努力をするという答弁をしてきた。しかし?字型の部分だけを残すという計画は、始めから持っていたのではないですか。
〇事業調整担当課長 この部分について屋敷林としての趣が残っている部分だということで残すということを決めてきたものです。
〇野垣委員 いつからという答弁はなかったが、パネルを提示いたします。これは平成29年の2月に出されたまちづくりイメージの図です。初めから?字型の樹林部分しか残さない計画を立てていながら、可能な限りと区が努力したような答弁をするのはいかがなものか。
黒塗で隠したアドバイザー
〇野垣委員 次のパネルを提示します。こちらは平成28年11月8日の庁内の実務検討会で検討体制について起案した文章です。ここに技的支援をいただきながら検討を進めるというふうに書かれていて、ここに企業名、個人(先生)が黒塗りになっている。なぜ黒塗りとしたのか、なぜ以前私の質問に答えなかったのか。
〇事業調整担当課長 個人情報の観点からお答えできませんでした。
〇野垣委員 技術的支援を受けるというふうに記載されている。これはボランティアとか無償で参加してもらっていたのですか。委託関係を結んでいたのではないですか。
〇事業調整担当課長 先生についてはご意見を伺ったりしているので、謝礼を払っている時もあります。
〇野垣委員 謝礼を払っているということは公費が支出されているということです。こういう場合は、企業名とか代表者名っていうのは開示対象ではないのですか。
〇事業調整担当課長 個人情報保護の観点から公開しておりません。
ずっと同じ事業者・個人が関与
〇野垣委員 平成28年の9月に、阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり基礎調査業務委託の公開型プロポーザルというのを行っています。業務内容、委託した事業者を教えて下さい。
〇事業調整担当課長 阿佐ヶ谷の北東地区のまちづくりの基礎調査の委託をしております。この委託先の方については、株式会社計画工房になります。
〇野垣委員 委託契約など他の文書では計画工房というふうにしっかり社名、委託先を公表していると思うんですけれども、それなのにこの計画そのものの資料で、こう公になっている委託先が黒塗りされるというのはどういうことでしょうか。この計画工房でないというなら、違うと言っていただきたいのですが。
〇拠点整備担当課長 個人としてアドバイスをもらっていたものと、実際に個人としてアドバイスをもらっていた実務検討会のものと、まちづくりの調査は計画工房に委託契約しているものですので、両者は違うものでございます。
地権者との調整にも参画
〇野垣委員 更に、区内の庁舎内検討会と並行して平成28年11月から杉一小学校施設整備に関する地権者等調整という名目で区と地権者との協議がスタートしています。
…この黒塗りの方の名前と所属を伺います。それから基礎調査を受託した、先ほど計画工房の期間とも重なっており、この企業の代表者が同席したのではないですか。
〇事業調整担当課長 この地権者等の中に入っている技術的アドバイスをいただい方は、個人的な方なので、個人情報の観点から、この部分に関してはお答えできません。基礎調査を委託したところは計画工房で、そこの主催者は村上美奈子さんです。
〇野垣委員 この黒塗りの方は地権者調整に何度も参加しており、手当とか渡しているのか。
〇拠点整備担当課長 アドバイスをいただいたところは謝礼金を払っています。
〇野垣委員 第三者がなぜ、こうここに出席しているのか説明してください。
〇事業調整担当課長 専門的な分野になりますので、専門家の方からアドバイスをいただいたものです。
〇野垣委員 それであれば、この第三者を議会や区民に隠すということが分からない。疑惑があるんじゃないかと思わざるを得ない。阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりの関係で計画工房さんに発注した事業について、年代、名、支払額を伺います。
〇整備担当課長 まず、28年に基礎調査を行いました。契約金額は279万円余でございます。29年度にはまちづくりの計画素案作成を支援委託。契約金額は660万余。その後平成30年にまちづくり計画案の策定支援委託をしております。399万円余。今年度になり、阿佐ヶ谷北東地区まちづくりの取組手法等検討支援業務を委託。契約金額は499万円余です。
地権者等による計画のコンサルも
〇野垣委員 関連して確認するが、区が検討に入る以前から地権者である相沢氏が代表になって、阿佐ヶ谷駅北東地区を考える会というのがありましたが、その検討内容が区に提出をされています。この検討会のコンサルを請け負った事業所はどこでしょうか。
〇拠点整備担当課長 すみません、その報告書についてちょっと調べますので少し時間をください。(その後答弁)
〇拠点整備担当課長 阿佐ヶ谷駅北東地区を考える会から区の方に提出されました阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくり構想のコンサル担当は計画工房でございました。
土地評価の疑問?財産価格審議会にかけず
〇野垣委員 見過ごせない問題である土地評価について伺います。区画整理事業や換地に当たって、区有地である杉一小と移転予定の河北病院本館の土地の評価が適正なのかという問題です。
…貴重な区有財産の処分、交換であるにも関わらず、財産価格審議会にかけないのはなぜでしょうか。
〇経理課長 …財産価格審議会に付議、諮問をしていないということにつきましては、そもそもこの換地という行為がですね、公有財産規則のどれにも当たらない行為で、そもそもが財産価格審議会の諮問事項には当たってございません。
〇野垣委員 公有財産管理規則第2条には、処分は財産を交換する、交換し売り払い、及び譲与することとあります。
…それから過去に財務省との財産交換が行われた、あんさんぶる荻窪の場合、財価審にはかかけられて、形式上は議会の議決にかけられています。この財産交換は所有者の名前を変える行政処分ではないのでしょうか。これが交換売買であって、今回の換地が交換売買ではないという理由がどうして成り立つのですか。
〇経理課長 …先ほどもちょっとご答弁しましたが、公有財産管理規則の規定の範囲外で、区画整理事業として換地をしているってことですので、性質の異なるものいうふうに理解してございます。
〇野垣委員 …等価交換ではないということもきちんと示されていない、全く内容の伴わない言葉だと思うんですが、透明性を確保するためにも財価審にかけるべき案件だったということです。
…説明会も行わず、緊急事態宣言が延長されるこのコロナ禍でも、区の財政状況、住民意見を無視して、事業、大量の樹木の伐採が進められることに対して、私は絶対に容認できないと指摘するものです。
以上
(区議団ニュース5月号外として発行したものはこちらからダウンロードできます。)